柚木沙弥郎の世界

先日、島根県を訪れたたったひとつの目的。

何度かの民藝ブームでファンも多い柚木沙弥郎さん。私も一介のファンのおばさんです。大枚はたいて作品を所蔵するわけでも、様々な縁の地を巡礼するわけでもありません。ただのファン。

しかし、著作などで惹かれてきた作品のいくつかの本物を間近に見ることができるなんて!展覧会というチャンス、それに飛んで行けるチャンス、逃せない。それで今回の遠出です。

会場の浜田市世界こども美術館。山の上にあります。
入口が見えてきた
展示スタート地点へ移動するエレベーターすら、この素敵感。
展示入口。最初の部屋だけ、撮影が許可されていました。
最初の展示室を俯瞰で見たところ。
上の写真を撮った場所の足元の展示。
型染の数々。絹・木綿・インド綿…「ああっ!本物!これも本物!(著書や作品集をずーっと見ていた為)」と心の中で叫び続けて、心の中で声が枯れた。許されるギリギリの範囲まで老眼鏡を掛けた顔を近づけて、色の重なりや滲みなどをじっくりと拝見する。この部屋だけで見るのに30分以上かかってしまった。
展示室中央上空を悠々と泳ぐ鯉のぼりと、世界こども美術館の外で泳いでいた鯉のぼり。

余談ですが、島根県内でものすごくたくさん鯉のぼりを見たんですよね。特に鯉のぼりが名物というわけでもないようですが、一般家庭から公共の場 とにかくみんなしてガンガン泳がせてるな〜ってビックリしたくらい。「日本の原風景」的な趣が50代の心に染み渡ります。

これはネットで拾った浜田市市役所(2年前)の画像ですけど、今年もこんな感じでした。

ファースト展示室から進むと、今年ご自宅で行われた柚木先生へのインタビュー映像がエンドレスで流れるコーナー。ホントに今年100歳になられるんですか?と改めてビビる矍鑠たるお話ぶり。

映像コーナー以降は撮影不可。しかとこの目に焼き付けるんで、大丈夫ッス!と老眼鏡を拭き改め、版画やリトグラフをじっくりと見ていきます。かなり最近の作品もあって嬉しかったな〜。

著書やインタビューでお馴染みの柚木語録が壁に(フォントだけが壁に浮いてるみたいな)展示をされる中を進むと、先生の蒐集品である世界各国のおもちゃや雑貨などなどがズラリと並ぶコーナー。モノに纏るエピソードや、モノ達と共通する何かを宿した世界中のこども達の絵画が一緒に展示されているのが素晴らしかったです。会場が「世界こども美術館」だから…ということもあったのでしょうが、年齢を超越した柚木沙弥郎さんの遊び心をより強く感じられた!

そして水彩画(大好きで影響を受けておられるというマティスの作品と一緒に展示)や、珍しいガラスに描かれた絵の展示も。

展示を一通り終えると、大人も子供も紙や道具をもらって切り絵やら貼り絵などを楽しむコーナー。ゴールデンウィークとあって、子供連れの皆さんが楽しそう!ひとり旅のおばさんは、ニヤニヤと眺めるに留め(というか、最初の展示室を俯瞰で見られるのはこのコーナーの場所だけだった為、上から再び展示をずーっと見ていた)別のフロアへ移動しました。

階段で移動、ちょっとご不浄…と思ったらひびのこづえさんの作品(ミッフィーちゃん)突如現る。

とにかく展示をじっくり見過ぎたので水分補給をし、その後もうひとつ楽しみにしていた展示室へ。

地元・浜田漁港で実際に掲げられていたと思しき大漁旗を、たっぷり特別展示!

ホンモノの大漁旗を見る機会はなかなかないですからね〜。すごく楽しみにしてました。そして凄く良かった!

途中から、化粧まわしを見ているような気持ちに…

ミュージアムショップでは去年末に立川で開催されたlife・LIFE展の素晴らしい図録や絵本、作品集、グッズ等が大充実。全部買うか全部買わないかの二択…という程悩み、結局お孫さんが発行されているhanaブックの、2019年パリの旅特集と2021年life・LIFE展の舞台裏特集の2冊を購入。

図録や作品集、見かけるたびにホントに欲しいな〜と思うのですが、なにせ今ナマを見てきたところだから。作品たちはいまココ(胸をゴリラのようにドンドン!)にあるぜ…とニヒル(当社比)に微笑んで美術館を後にしました。

ちなみに、件のlife・LIFE展は今年11月に京都へ巡回とのこと。

  • arima